西海岸スタイルのフードホールが大ブーム! (1) 特徴とメッカ

フードホールのAnaheim Packing District (アナハイム・パッキング・ディストリクト)
現代型フードホールの先陣、Anaheim Packing District (photo by Miyuki Sato)

Cimplex Marketing Group Inc.はロサンゼルスに拠点を置き、グローバル事業を展開する日本企業を市場調査とマーケティングの分野で支援する日系の会社です。 

日本に「フードホール」と呼ばれる飲食施設が登場していますが、アメリカでもフードホールという場所が賑わい始めたのはここ数年のことです。というのも、food hallはもとはイギリス英語。デパートの食品街を指す用語で(つまりデパ地下)、アメリカには存在していませんでした。近年フードコートをアップグレードしたような飲食施設が広くfood hallと定義づけられています。

個性派、楽しい、インスタ映え!

フードホールの特徴は、大規模なチェーンやフランチャイズではない個性派のお店が揃っていることです。サードウエーブ系コーヒーに代表されるこだわりの店、チーズやオリーブなど特定の食材に特化した専門店、見た目にも楽しいユニークなドリンクやスイーツなど、「そこでしか味わうことのできない」付加価値を提供し、飲食という行動を超えた「体験」を提供しています。多くのテナント店がセルフサービス式で、手頃な価格でこういった体験ができるのも消費者にとって魅力です。

フードホールに入居する飲食店は現代型のビジネス運営を強く意識しています。ソーシャルメディアによる拡散は必須なので、インパクトのあるアイテムを提供する傾向があります。例えば、アイスコーヒーの上に綿あめをかぶせた巨大ドリンク(上の画像参照)、高さが15センチにも及ぶハンバーガー、ハワイ発祥の彩り鮮やかなポキ丼など、インスタグラムをはじめとする画像投稿で映える品を数多く見かけます。もちろん、フードホールの内装もおしゃれで楽しく、「行ってみたい」と思わせる仕掛けに溢れています。

西海岸のメッカ、LA郊外のオレンジカウンティ

ロサンゼルスのフードホール The LAB
砂漠のオアシスのようなテーマのThe LAB (Photo by Miyuki Sato)

全米各地にフードホールが次々とオープンしていますが、西海岸でフードホールが多く集まるのが、当社が所在するオレンジカウンティ(OC)です。OCはロサンゼルスの郊外として発達し、ディズニーランドを中心とした観光地としても有名です。現在、10以上のフードホールが競い合っていて、人気施設は遠方からわざわざ訪問するデスティネーション(目的地)となっています。

OCがフードホールで先端をゆくのは、個性重視の商業施設開発に力を入れてきたデベロッパーの存在が大きいからといえます。OCは60年代から大規模な開発が進み、広大な土地を利用して大型店が次々と参入しましたが、結果どこに行っても似たようなショッピングモールばかりとなりました。それに疑問を持ったLAB Holdingsというデベロッパーが、1993年に廃工場を改装して「The LAB」という小売施設をオープンしました。

Little American Businessを意味するLABは、地元商店や個人経営店などの小規模テナントを集め、大型チェーン店で固めた特徴のないモールに対抗する「アンチモール」というコンセプトを打ち出しました。LAB Holdingsはその後も小規模ビジネスの支援にこだわり、2014年にAnaheim Packing Districtというフードホールをオープンして大成功に導きます。現代型フードホールのビジネスモデルは、ここから始まったのです。

成功例に続け!どんどん進化する西海岸フードホール

OCには以下のようなフードホールの事例があり、いずれも大人気となっています。各施設の見どころと詳細は次の投稿に続きます。
The LAB
The Camp
Anaheim Packing District
The OC Mix @SOCO
Trade Food Hall
Union Market at the District
Steel Craft(2017年開店予定)

コンタクト

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Miyuki Sato

ロサンゼルスに拠点を置くマーケティング会社、Cimplex Marketing Group, Inc.の代表。専門は市場調査。在米20年以上、英語学習の本を4冊出版している。当ブログではビジネス英語に関する記事を多数投稿。